JPMorgan Chase

JPMorgan Chase 銀行は、Tableau の導入により、セルフサービス分析を実現し、急激な業界の変化に対応


手動によるレポート作成にかかる時間を削減することで、数千時間の工数を節減

Tableau の利用を 3 万人近くのユーザーへと拡大

データガバナンスにより、規制の厳しい分野でのセルフサービス分析を実現

JPMorgan Chase (JPMC) 銀行は、世界有数の金融サービス企業であり、米国最大の銀行の 1 つでもあります。合併や買収を経て成長を遂げてきた JPMC 銀行では、リスクの削減、カスタマーエクスペリエンスの強化、将来的な戦略の策定に向けたインテリジェンスの提供など、ビジネスの運営や戦略にデータが必要不可欠となっています。

JPMC 銀行は、急激な業界の変化に対応し、ビジネスの成功に向けてさらに最適化するために、IT 部門ではなく、ビジネス部門がオーナーシップを持つセルフサービス分析へと移行することにしました。しかしながら、規制の厳しい環境では、IT 部門が最初に、データへのアクセスとコンプライアンスのバランスがとれた企業ガバナンスを確立する必要がありました。JPMC 銀行は、センターオブエクセレンスによる支援を受け、IT 部門をイネーブラー (実現者) とすることで、Tableau を導入しました。それにより、2011 年には 400 名であった Tableau Server ユーザーは、現在では 3 万人に到達しようとしており、全社規模でデータの正確性を高めています。

現在、500 以上のチームが、Tableau を使用して、健全な銀行事業の運営に重要となる、戦略的な意思決定を行っています。たとえば、JPMC 銀行のマーケティングオペレーションチームは、Web サイト、販促資料、または Chase モバイルアプリなどの製品のデザインに関する意思決定に影響を与える、カスタマ―ジャーニーを分析します。また、財務マネージャーや支店マネージャーは、データを分析して、バンキングにおけるカスタマーエクスペリエンスを強化できるようにします。さらには、トレーダー、オペレーションアナリスト、営業、リスクおよびコンプライアンス部門のメンバーなど、さまざまな役割を担うユーザーが、Tableau の API 機能を活用して、既存の業務アプリケーションでシームレスな分析を実行しています。

何もないところから、現在の状況へと発展できたのは、ユーザーが Tableau を使用したいと思ったからです。JPMC 銀行で Tableau が成功した最大の要因は、そこにあります。

ビジネス重視の IT 部門により、モダン分析の文化が育成され、ユーザー数は 3 万人に到達しようとしています

ビジネス部門は、金融サービス業界のコンプライアンスや規制、さらには社内のデータガバナンス基準を順守しながらも、問題を解決し、データの質問に対する答えを自ら見つけられるようになりたいと考えていました。

ビジネス部門は長いこと、Excel や SQL Server などの旧式のツールを使用していました。しかしながら、このエコシステムでは、効率が悪いだけでなく、データが複製されていたために混乱が発生し、正確性が損なわれていました。Cognos や Business Objects などのビジネスインテリジェンスソリューションを使用した場合でも、キャンペーンの効果を評価するのに数カ月を必要としました。そのため、IT ガバナンスとデータアクセスのバランスをとりながらも、ビジネス上の優先事項に即時に対応できるプラットフォームが必要でした。

新たなチームリーダーシップを得た IT 部門は、ビジネス部門のデータ障壁を取り除き、コンプライアンス、監査、リスク部門と協力して Tableau を使用して、ガバナンスソリューションを作成しました。「ビジネス部門が抱える問題のすべてを IT 部門が把握することは不可能なため、ビジネス部門が自分たちで問題を解決できるプラットフォームを構築したいと考えました。これが Tableau を使用するにあたって私がとったアプローチです。その理由は単に、ビジネス部門のユーザーが既に行っていたデータに接続して分析するという作業が Tableau で可能であるということにありました」と、バイスプレジデント兼 BI イノベーションリーダーである Steven Hittle 氏は述べています。

新しいことを試したいと考えているユーザーに Tableau へのアクセスを提供することにより、JPMC 銀行は、管理されたセルフサービス分析を全社規模で実現することができました。Tableau の導入で重要な役割を担ったセンターオブエクセレンス (COE) チームは、JPMC 銀行全体での Tableau と分析を使用するビジョンを引き続き設定していきます。2017 年全体を通して、8 人のトレーナーが、1200 人の新しい開発者とアナリストに対して、プラットフォームのトレーニングを提供しました。これにより、プラットフォームに対する関心と利用が急速に拡大したため、現在のユーザー数は 3 万人近くに到達しています。また、COE の支援のもと、クラスルームでの学習や Tableau Days (Tableau での取り組みで協力している Tableau のセールスおよびバンキング担当者との丸 1 日のセッション) を通して、ユーザーの意欲を掻き立て、トレーニングしたことにより、利用者が確実に増えて、データ分析での好循環が生み出されました。

「何もないところから、現在の状況へと発展できたのは、ユーザーが Tableau を使用したいと思ったからであり、IT 部門を頼れなくなったからではありません。JPMC 銀行で Tableau が成功した最大の要因は、そこにあります」と、分析担当ディレクターである Jason Mack 氏はさらに説明します。 JPMC 銀行には 18 の Tableau Server クラスタが存在しており、それらのクラスタでの使用やパフォーマンス、主要指標を監視することで、すべてのユーザーの期待に応え、十分なデータ容量を確保し、高い効率を実現できるようにしています。

また、JPMC 銀行は、ビジネス部門全体のアナリストが Tableau を使用してデータについて質問できるようにすることで、手動によるレポート作成にかかる時間を月単位から週単位に短縮することができました。これにより、数千時間の工数が節減され、全社規模での意思決定の透明性を高めることができました。アナリストから経営幹部に至るまでのユーザーが、ビジネスに対するデータの影響について考える上で、より多くの時間と情報へのアクセスを得られるようになりました。また、イノベーション能力が高まり、より一貫した指標が定義されたことで、JPMC 銀行でのカスタマ―ジャーニーに対する理解を深めることができるようになりました。

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JPMC 銀行では、堅牢な顧客データセットを Tableau で分析し、「Freedom と当座預金口座を持ち、モバイルウォレットを使用しているお客様は何人いるか」といった質問がすばやくできるようになりました。

チャネルレベルのマーケティング指標によって、カスタマーエクスペリエンスを形成します

ビジネス部門は、分析を確認する際に (口座別データやリテールデータの測定など)、すべての顧客と、あらゆる段階におけるカスタマ―ジャーニーを簡単に確認することができませんでした。Tableau は現在、顧客分析のフロントエンドツールとして機能しており、マーケティング部門は、全体的な顧客関係の価値を評価するために、商品、マーケティング、サービスタッチポイントなどのビジネス関連の項目に顧客データを関連付けた堅牢なデータセットを構築しました。

「Tableau を JPMC 銀行の堅牢な顧客データセットのフロントエンドに据えたことで、アナリストが『Freedom と当座預金口座を持ち、モバイルウォレットを使用しているお客様は何人いるか』といった質問がすばやくできるようになりました」と、Mack 氏は述べています。これにより、JPMC 銀行は、顧客基盤を拡大させながらも、顧客満足度を改善できるインサイトを得られるようになりました。

マーケティング部門は、キャンペーンを開始する際に、Tableau で人口データを分析して、最適なターゲットを判断します。オペレーション部門は、カスタマ―ジャーニーの分析を確認して、プロセスが中断される状況について理解しようとします。商品を改善するためには、顧客が行動を放棄した場所やその理由、または主な数量がチャネル上のどこに存在するのかを把握することが重要となります。「コールセンターの指標や  Web サイトの分析など、顧客満足度の改善に取り組む中で、カスタマーエクスペリエンスから考えられるすべてのことです」と、Hittle 氏はさらに説明します。結果として、対応事項をロードマップに組み込んだ上で、最終的に対応するのではなく、すばやく成果を生み出すことができます。

マーケティング部門はまた、Tableau ダッシュボードを使用して JPMC 銀行のリテール支店が市場をより深く理解できるように支援します。たとえば、特定のダッシュボードによって、より見込みのある小規模ビジネスを特定することができます。また、住宅販売や不動産業者の活動に関するより詳細な情報が提供されるため、情報に基づいた厳選プログラムや顧客のターゲット設定が可能となります。現在、顧客専用の担当者や住宅ローンアドバイザーなどの支店従業員に Tableau を試験的に展開しており、最終的には 5,300 超の支店すべてに展開される予定です。

「ビジネス部門が抱える問題のすべてを IT 部門が把握することは不可能なため、ビジネス部門が自分たちで問題を解決できるプラットフォームを構築したいと考えています。これが Tableau を使用するにあたって私がとったアプローチです。その理由は単に、ビジネス部門のユーザーが既に行っていたデータに接続して分析するという作業が Tableau で可能であるということにありました」

リスク部門での Tableau の導入により、データの標準化が支援され、コンプライアンスを維持できます

2012 年の経済危機によって、業界が大混乱に陥ったことで、銀行に対する規制の強化が重視されるようになりました。この規制の強化によって、IT 部門とビジネス部門の間の関係、コラボレーション、信頼が損なわれました。透明性があり完全に信頼できるビジネスデータがないために、JPMC 銀行ではコストとリスクが増大しましたが、政府規制に対するコンプライアンスを示す必要がありました。JPMC 銀行のリスク分析は、Excel や Access などのツールを使って、一括で行われていました。これは、データソースの正確性や規制へのコンプライアンスの確保を困難にしていました。このパターンから脱却するため、IT 部門は、リスクおよびコンプライアンス部門の利害関係者を関与させることで支援を獲得し、Tableau をさらに広められるようにしました。

IT 部門は、これらの利害関係者に Tableau とデータモデルについてのトレーニングを提供することで、より健全な仕事上の関係を築きました。これにより、最終的に何百人ものリスク部門のユーザーが Tableau を利用できるようになり、適切なガバナンスフレームワークが活用できるようになりました。この部門は Tableau Desktop または Tableau Cloud を使用して、管理された準拠データでダッシュボードを作成し、それをビジネス部門、マネージャー、エグゼクティブ向けに Tableau Server 上に提供します。

この取り組みを支援するために、IT 部門は認証済みセルフサービスという新しいクラスタを作成しました。このクラスタは、より厳格なプロセスを経ることで、SQL の正確性を確保し、ユーザーがデータの信頼性に確信を持てるようにします。これは、90 の異なるサイトを持つ、18 の Tableau Server クラスタで構成されています。認証済みセルフサービスクラスタでは、データディクショナリーによってすべてが文書化されることから、ユーザーは信頼できるソースであることを確信できるため、その場で意思決定を行うことができます。IT 部門は、データが機能していること、そして、セキュリティ管理ガイドラインが順守されていることを確認します。

「最も規制の厳しい分野でセルフサービスを実現すること、つまり、Tableau でメタデータを収集し、そのデータの系統を提供するツールに標準のプラットフォーム、適切なデータ管理、適切なガバナンスを備えることで、IT 部門による対応を待つ必要がなくなるため、ユーザーは非常に満足します。また、ユーザーに満足してもらえることは、IT 部門にとっても喜ばしいことです」と、ビジネスインテリジェンスデリバリーセンターの責任者である Sriram Belur 氏は述べています。