Eisai Japan

医薬品業界の多種多様なデータの活用を|エーザイ株式会社


多様なデータへの柔軟な対応

データをもとにした議論

導入の背景

導入製品: Tableau Desktop、Tableau Prep、Tableau Server、Tableau Viewer

データ活用を支援するテックスクワッド

ビッグデータに対する期待が大きい製薬業界。膨大な種類の化合物から新薬候補を探し出すプロセスでは、データを紐解くことで開発の高速化と成功確率の向上が可能になると期待されています。また一人ひとりに最適な医療を提供する「個別化医療」の領域では、ヒトゲノムの配列を患者ごとに行うことも欠かせません。さらに、日常の実臨床の中で得られる「リアルワールドデータ」も、医薬品の基礎研究における疾患理解や、医薬品による健康被害リスクの早期発見に役立つと考えられています。

このようなデータ活用を積極的に推進している製薬会社がエーザイ株式会社(以下、エーザイ)です。同社は世界初の抗認知症薬を開発した企業として知られており、認知症領域においては 35 年以上の経験を有しています。1980 年代には「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」を経営理念に掲げ、事業領域も拡大。

近年では「知識創造型経営」にも積極的に取り組んでいます。そのための重要な基盤の 1 つとなってるのが、Tableauを活用したデータ分析プラットフォームなのです。

「私が入社したのは 2020 年 5 月ですが、すでに 2017 年には Tableau が導入されていたと聞いています」と語るのは、エーザイ テックスクワッドでマネージャーを努め、データエンジニア/データアナリストとして活躍している有吉 浩一 氏。「テックスクワッド」とはヘルスケア領域における DX やデータ分析に関する社内コンサルティングも含め、DX 推進を行う部署であり、その中でも私は Tableau を用いたコンサルティングを中心に活動を展開しています。

「2020 年 10 月に発足したときには 3 名からスタートしましたが、今では 20 名近くのスタッフが組織横断的な支援を行っています」。

Tableau の導入・運用環境について

大きく 3 つの領域で Tableau を活用

有吉氏がエーザイに採用されたのも、それまでの職歴でデータアナリストやデータアーキテクトの経験を持っていたからでした。すでに前職でも Tableau を活用しており、データを活かした DX を加速できると評価されたのです。テックスクワッドの発足も、このような人材がいたからこそ可能になったと言えるでしょう。

エーザイ全体の取り組みとして、Tableau に関する社内研修にも取り組んでいます。新入社員と希望者を対象に、年に 2 ~ 3 回の頻度で研修を開催しており、その卒業生はすでに約 50 名に上っています。このような人材が作成・活用する Tableau のワークブックも 1,700 を超え、一番見られているダッシュボードはデイリーで 2 万ビューに達しています。

では具体的にどのような活用が行われているのでしょうか。有吉氏は「大きく 3 つの領域で活用されています」と説明します。

第 1 は営業活動での活用です。現場マネージャー向けには「担当エリアの競合品シェア」、MR(医療関係者に医薬情報を提供する営業担当者)向けには「担当病院の日々の売上実績」、マネジメント向けには「全国の日々の売上・計画進行確認」といったダッシュボードが提供され、日常的に活用されていると言います。

第 2 は事業や Web サイトの管理であり、各事業の KPI の可視化や、Web サイト運営に係る各種データの可視化などが行われています。

そして第 3 がリアルワールドデータの分析です。この領域では、レセプト(診療報酬)データの分析や、パーキンソン病の併存疾患の分析などが行われていると説明します。

Tableau 選定の理由について

シンプルで使いやすく柔軟性も高い

それでは何故このようなデータ分析の基盤として Tableau が採用されたのでしょうか。有吉氏は「大きく 3 つの点が評価されたからではないでしょうか」と語ります。

第 1 はシンプルで使いやすいことです。従来から存在していた帳票類を簡単に整理でき、直感的にデータを判断できる形に可視化できる上、その操作や分析も容易だと言います。また閲覧ログを見ることで、提供したダッシュボードの中のどのメニューが使われているのかを把握でき、不要なメニューを削除してよりシンプルな形にすることも可能だと指摘します。

第 2 は様々な事態に対応できることです。エーザイには多様なデータソースがありますが、Tableau はこれらのデータソースから簡単にデータを取り込むことができます。また集計方法や可視化の方法も、標準機能だけで柔軟に変更できます。

そして第 3 がモバイル化への対応です。「モバイル版のダッシュボードも標準機能で開発でき、サブスクライブ機能で自動的にデータを送信できます。これによって、社外で活動することの多い営業を、強力に支援できます」。

 

Tableau の導入効果について

多様なデータで議論する文化へ

データ分析基盤として Tableau を活用することで、次のようなメリットが得られています。

多様なデータへの柔軟な対応製薬企業には多種多様なデータが存在し、外部にも様々なリアルワールドデータがあります。Tableau を採用することで、これらのデータを素早く取り込み、分析・可視化できるようになっています。データソースの中には、Salesforce Sales Cloud をライフサイエンス業界向けにカスタマイズして提供されている「Veeva」や、Salesforce MA も含まれています。なお Salesforce MA は、一般消費者向けアプリの配布促進などの目的で活用されています。

データをもとにした議論以前は事実に基づかない無駄な議論も少なくありませんでしたが、シンプルで使いやすいダッシュボードを提供することで、データをもとにした議論を行うという文化が広がりつつあります。閲覧ログの結果をベースにダッシュボードのシンプル化も進められており、これもデータ活用を拡大する上で、大きな役割を担っています。

営業効率化ビジネス面での効果も生まれています。その 1 つが営業の効率化です。まず営業活動に関する各種ダッシュボードを活用することで、日々の営業活動実績を確認しやすくなり、次の一手につなげることが容易になりました。また実績の予実管理によって、営業活動全体の戦略立案なども行いやすくなっています。

Tableau の新機能を積極的に活用しながら、ユーザーにとって使いやすいダッシュボードのデザインを、もっと追求していきたいと思っています。

今後の展開について

データで人々に貢献できる仕事

「私自身は SIer からキャリアをスタートし、ゲーム運営や EC ショッピングモール、広告代理店などを経験してきましたが、エーザイに入社してからは医薬品業界で扱われるデータの多様性に驚かされています」と有吉氏。その分析や可視化を Tableau で支援することで、データアーキテクトとしての成長を日々感じていると語ります。

「エーザイのデータ活用はこれからさらに活発化し、より多くのデータ人材が必要になるはずです。この業界では、疾患という人々の深い憂慮の解消に貢献でき、さらにエーザイは患者様のベネフィット向上を第一に考える企業であるため、やりがいを強く実感することができます。データで社会に貢献したい方は、ぜひその信念をこの業界で生かしていただきたいと思っています」。

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